
会社員の妻をめぐる配偶者控除や社会保険料【拡大】
だが、「(1)正社員として勤務する」のは、本人にとってデメリットもある。日本では、正社員の場合、転勤がありえるからだ。遠隔地に転勤になってまでも勤務する主婦は少ないと思う。だから現実的には「(2)長時間勤務の非正規として勤務する」主婦が増えると想像する。
つまり、子育てが一段落した40代とか50代の主婦の中で、「(2)長時間勤務の非正規として勤務する中高年の主婦」が増えるというのが筆者の予想である。
このことは、会社側にとってメリットとデメリットの両方があるだろう。
会社側にとってのメリットは、働き手として、よりアテにできるようになることだ。例えば、年末になると、調整のために休む人がいるが、そんなことはなくなるだろう。昇給とか賞与でもっと報いるようになれば、定着率も上がるだろう。
会社側にとってのデメリットは、時給が上がったり、賞与が増えたりすることだ。これまでは「103万円の壁」のおかげで昇給とか賞与に対する要求が抑えられていたが、それがなくなり、人件費が高騰するだろう。
企業の家族手当 子持ち社員優遇 未婚者はゼロ円も
「配偶者控除」の見直しで考えられる「会社の対応法」をもう少し掘り下げてみよう。まず頭に浮かぶのは、家族手当の見直しだろう。
人事院の「平成27年職種別民間給与実態調査」によれば、76%の会社が家族手当を支給している。そのうち、配偶者に家族手当を支給しているのは90%に達している。
その配偶者に対する家族手当は「所得制限がある」会社が84%あり、その所得は103万円が68%、130万円が25%だという。
支給基準である103万円というハードルがなくなったり、逆に150万円に引き上げられたら、会社はどんな対策を講じるのだろうか? 考えられるものを列挙してみよう。