ネット販売のED治療薬「4割はニセ物」 ゴミ溜めで製造、インクで着色… 死の危険性も (3/3ページ)

中国で見つかったED治療薬の偽造品製造現場。不衛生な状況であることが一目で分かる(ファイザー提供)
中国で見つかったED治療薬の偽造品製造現場。不衛生な状況であることが一目で分かる(ファイザー提供)【拡大】

  • バイアグラの偽造品を製造する現場で見つかったバケツ。バイアグラの色に似せるためにインクが使われていた(ファイザー提供)

EDの原因

 佐々木教授は「中高年のEDの場合、ほとんどが動脈硬化により陰茎に達する血液が不十分になることが原因」と解説。ED治療薬の効果がなかなか表れない人は動脈硬化の進行が疑われ、脳梗塞や狭心症、心筋梗塞のリスクも抱えている。「糖尿病や高血圧、脂質異常症、メタボリック症候群などの疾患を詳しく調べる必要もある」という。

 医師の診断抜きでネット購入した偽造品を服用した場合、効果が期待できないばかりか、隠れた病気を悪化させる恐れもある。

 若い人の場合、EDはほとんどが心因性、つまり「気持ちの問題」とされるだけに、佐々木教授は「偽造品で期待した効果が得られなければ、さらに落ち込み、自信をなくす負の連鎖に陥る」と危惧している。

 レビトラを製造販売するバイエル薬品の井上智子偽薬対策担当部長は「健康被害の危険性はもとより、偽薬品の販売利益は反社会的組織の資金源となっている可能性もある。確実に、安心してED治療していくためにも医療機関を受診してほしい」と訴えている。