
35年ぶりに復刊した「ホステス心得帖」。ポーチやセカンドバッグにも入る、スマートフォンほどのサイズになっている。【拡大】
特にお店が混んでいるときには、次の人に席を空けてあげる粋な飲み方というのは、店にとっては一番嬉しいことです。「いらっしゃいませ」と私たちが声を出すと、お店に入ってきた人を見て、「ほな、帰ろか」と言ってくださる。狭い店では、お客様のそういう心遣いがとてもありがたいものなんです。
気遣いで、もうひとつ嬉しいのは、お客様が少ない日に来店されて、いつもよりホステスが多くついた場合です。沈んでいる店内の空気を察知して、普段のボトルではなく、「ここはちょっと気合入れて、シャンパンいこか」と気張って飲んでくれるとありがたいものです。店の状況を判断して気を使ってくださる人は、本当に粋なお客様ですよね。
ここに注意!おしゃれな人の落とし穴
クラブに来られる方は、おしゃれで清潔な人が多いですよ。スーツやコートはいつもピシッとしたものを着て、手入れの行き届いた靴を履いてらっしゃいます。
人間は「見てもらいたい。わかってもらいたい」という気持ちを多くの人が持っています。「ホステス心得帖」にも〈お客様は、自分の何か(持ち物・人柄・仕事・容貌…その他あらゆるもの)について、それをいち早く認められ、ホステスに誉められたいものである。……〉とありますが、男の人のその思いをわかるように努力をしています。『世界の一流品大図鑑』を読んだり、ブランドものをよく見て歩いています。ホステスさんたちにも、「『いい靴履いていらっしゃる』とか、『ああ、どこどこの○○ですね』というのがわかるぐらいの勉強をしましょうね」と話しています。しかし、そればかりを話題にしていると、お客さんも窮屈に感じるでしょうから、兼ね合いには気を配っています。