【IT風土記】長崎発 離島活性化の起爆剤となるのか 電子化された地域通貨「しまとく通貨」の挑戦 (2/3ページ)

 10月~3月の期間限定で販売され、購入できるのは、島外の観光客だけ。1セット5000円を支払うと1枚1000円のしまとく通貨6枚、6000円分が付与される。約20%のプレミアムがついている計算だ。専用ホームページに個人情報を登録し、島内にある販売所で5000円を支払うと、専用ページにチャージされる。1人当たり最大6セットまで購入が可能できる。

 「スマホにスタンプを押すだけで簡単に決済ができるので便利。スマホに使い慣れた30~40代の顧客が利用している。比較的単価の高い商品を購入する時に利用されるケースが多い」と同店を運営する「あままごころ本舗」の船川勝治専務は話してくれた。

電子化されたしまとく通貨。右は電子化される前の金券

電子化されたしまとく通貨。右は電子化される前の金券

 もともとは金券でスタート…高コストに耐えられない自治体も

 しまとく通貨はもともと2013年4月から金券の形で発行されていた。当初は五島列島、壱岐島のほか、対馬や高島などの島々の自治体も参加。期間限定ではなく、1年中利用が可能だった。壱岐市観光商工課の篠崎道裕係長は「夏の繁忙には、在庫が足らなくなるではと心配することもあった」と語る。壱岐市では大手旅行代理店などと提携し、しまとく通貨を使った壱岐ツアーを企画。広島や関西からの観光客を呼び込み、大きな経済効果をもたらした。

 だが、人気が高まるにつれて、さまざまな課題が浮き彫りになってきた。

 加盟店は観光客から受け取った金券を現金化するまで1カ月近くかかり、「資金繰りに頭を痛める加盟店も多くあった」と、しまとく通貨を運営する「しま共通地域通貨発行委員会」(事務局・長崎市)の江口義信事務局長は振り返る。また、島内の住民が購入して利用したり、観光客が上限以上購入したりする不正もみられた。スタートから3年間で222万5000セット、約104億円を売り上げたが、印刷や保管のコストはばかにならなかった。

 そこで着目したのが、電子化だった。しまとく通貨はすべてインターネットを通じてやりとりされるようになり、金券を印刷し、島に郵送する必要がなくなった。決済もスムーズに行われ、加盟店も資金繰りに困る苦労から解放された。

しま共通地域通貨発行委員会の江口義信事務局長

しま共通地域通貨発行委員会の江口義信事務局長

「当時の混乱を考えると、今の仕組みをうまく活用した方がいい」