さらに分析を進めると、キツネ村には多くの外国人観光客が訪れるのにもかかわらず、市内の別の観光スポットに立ち寄った形跡があまりみられないことが分かってきた。明治16年から白石温麺を製造販売する佐藤清治製麺の佐藤豊彦社長も「キツネ村から白石温麺を食べにくる人はあまりいませんね。多くは日帰りしてしまうか、仙台市に宿泊してしまう。残念ながらキツネ村効果は白石の中心街までは波及していない」と指摘していた。
また、キツネ村のオーナー、佐藤光寛さんは「外国人観光客の中には駅から15キロの山道を何時間もかけて歩いてきたり、レンタル自転車で登ってきたりする人をよくみかけますよ」。駅からキツネ村に行くには車しかないが、近くのバス停まで数キロもある。タクシーを利用すると、8000円近い料金がかかる。訪日客の中には交通手段すら知らずに駅を降り、途方にくれながら、キツネ村を目指している観光客が少なくないのかもしれない。
「キツネ村」を訪れた観光客が白石温麺を食べたり、鎌先温泉に宿泊したり、こけしを購入したりすれば白石市には大きな経済効果が見込まれる。今回の分析を受けて、市は「キツネ村」へのバス運行を試験的に実施する検討を始めた。「キツネ村」の人気が高まる冬の時期に合わせ、地域の観光スポットをめぐるルートを設定して運行する方向で調整している。
観光客がツイッターに投稿した写真がきっかけで、地元も人が知らなかったスポットが人気を呼ぶケースは少なくない。日本人があまり関心を寄せなかったスポットが訪日外国人の人気観光地になっているケースもよくあることだ。観光振興に頭を悩ませている自治体はSNSの投稿から観光客の生の声を分析してみると、思わぬ「宝」を発見するかも知れない。