わたしはセミナーで、ある有名企業トップのこんな熱弁を耳にしたことがある。
「いいですか、みなさん! 企業の多くはジュンプウマンポに成長してきたわけではありません!」(順風満帆=ジュンプウマンパン)。
なぜ、このような「権力を持つ人」が誤読を連発するのか。あれこれ考えてみたら閃いた。実は権力を持つ人物であればあるほど、誤読を積み重ねる可能性が高くなるのではないか、と。その理路を簡単に説明しよう。
「誤読」の量は「裸の王様度」に比例する
大人であれ、子どもであれ、自分で誤読を改める手っ取り早い方法は、周囲の人たちが自身の誤読に対して、に「その読み方って○○が正しいんだよ」と指摘してもらうことだ。すこし恥ずかしい思いを抱きつつ、それをきっかけに以後その漢字の読みに気をつけていく……。これを繰り返せば、誤読している漢字の総量を徐々に減らすことができる。
だから、手厳しい見立てをすると、誤読を繰り返す権力者のそばには、誠意を持っていさめてくれる人がいないのだろう。すなわち「裸の王様」と化している可能性が高いのだ。
その人のミスに気づいたけれど、畏れ多くて指摘することができない。あるいは、ミスを指摘すると逆ギレされそうなので気づかぬふりをしている……。周囲がそんなふうに委縮(あるいは無視)してしまうと、当人は誤読に気づかないまま、そのことばを人前で連呼しつづけることになる。そして、相変わらず周囲は「その読み方って違うよな」と内心あきれながらも、沈黙を決め込むのだ。