田園都市線で増え始めた「負け組物件」 価値が下がる“かつての新興住宅街” (2/5ページ)

 以上はマンションの話であって、住宅地(戸建て用地)や戸建住宅に関しては、マンションほどの上昇が見られません。むしろ、傾向としてはなだらかな下落トレンドです。要するに、景気の上下動で変動するのは、今後都心の3~5区と、その他一部エリアの優良立地のマンションにとどまり、その他は景気と関係なく苦戦が続いて、ダウントレンドが半永久的に継続するものと想定されます。

 湾岸タワマンは五輪終了後も大丈夫か?

 ところで、最近の不動産市場について考察するとき、必ずといっていいほどテーマになるのが、2020年の東京オリンピック・パラリンピックです。コストがかかりすぎる点が問題視されているとはいえ、東京オリンピックは、日本経済にとって久々の明るいニュースです。実際に、景気の底上げに効果を発揮しています。

 オリンピック招致を果たした国は、スポーツ施設を建設するばかりでなく、道路や鉄道などのインフラ整備を行い、さらに外国人観光客のための宿泊施設を建設するなど、数多くの先行投資を行う必要があります。その結果として何が起こるかといえば、多くの雇用が創出され、資材が売れ、建機が売れます。実際にオリンピックが始まれば、世界中から観光客が押し寄せ、観光客による消費で各種サービス業や小売業が潤います。今回の日本の場合、一説によると、オリンピックによる経済波及効果は5兆円ともいわれているのです。

 不動産市場もオリンピック効果の恩恵を受けています。東京の中心部、湾岸エリアの一部などは、オリンピックまでは地価は安定的でしょう。また、オリンピックの会場や選手村が置かれる中央区の晴海、江東区の豊洲・有明などの湾岸エリアはタワーマンションが林立しています。オリンピック効果による後押しで、湾岸エリアのタワーマンションは注目度がさらにアップしました。

 一方で、懸念されているのが2020年の東京オリンピック終了後です。どこの国でも、オリンピック後には景気が冷え込む傾向が見られているため、今後は湾岸エリアの不動産は、供給過剰によって価値が暴落する、また、将来的にはゴーストタウン化するのでは、という見方があります。

湾岸エリアの物件価格は、暴落したままにはならない