【高論卓説】対話能力を上げるには 「適度に目を見て、目線を下」で好印象 (2/2ページ)

 次に、相手から視線を外すときに、どの方向に外したら良いかということを演習する。まずは実際に自分がどの方向に外しているかということを、録画したビデオを視聴して確認する。これも上、斜め上、横、斜め下、下と、日本のビジネスパーソンが実際に外している方向は均等に分かれる。

 自分がさまざまな方向へアイコンタクトを外しているビデオを視聴してもらいながら、それぞれの方向に外しているときに、聞き手の立場になってみると、どのような印象を持つか感じ取る。上に外すアイコンタクトは「何かを思い出しているようだ」、斜め横は、その位置に時計や窓があることが多いからだろう「時計や外を気にしているようだ」という印象を覚える人が多い。横は、「ノー」のボディーランゲージが伝わるためか「相手を否定しているようだ」、斜め下は「自信がなさそう」という声が多い。つまり、アイコンタクトは、2、3秒で、下に外すことが、相手に好印象を与え、相手をひき付けやすくなるのだ。

 ここまで、実感したところで、2、3秒でアイコンタクトを下に外しながら、自己紹介、業務紹介、実際の商談話法を繰り出す演習を反復すると、それだけで見違えるように相手をひき付けやすくなる。衆院選の最中であるが、街頭演説をしている立候補者のアイコンタクトの秒数と、外し方を観察してみることをお勧めする。聞き手をひき付ける候補者は2、3秒で下にアイコンタクトを外している場合が多いはずだ。

【プロフィル】山口博

 やまぐち・ひろし モチベーションファクター代表取締役。慶大卒。サンパウロ大留学。第一生命保険、PwC、KPMGなどを経て、2017年8月にモチベーションファクターを設立。横浜国立大学非常勤講師。著書に「チームを動かすファシリテーションのドリル」(扶桑社)。55歳。長野県出身。