そもそもオープンデータを推進する大きな目的は、公共データを二次利用可能な形で提供することによって新しいビジネスの創出や企業活動の効率化を促し、経済の活性化を図ることにある。公共のデータを官民が共有することで、創意工夫を生かした多様なサービスを生み出し、社会の発展に資する狙いがあるからだ。
「多くの自治体が『公開する』ことに主眼を置く中で、『使ってもらう』ことを重視して、公開する情報を決めました。これは全国でも例がないやり方でした」と静岡市総務局ICT推進課の大勝祥偉(よしひで)主査は振り返る。民間企業などにリサーチしながら、利用ニーズが高いデータを選定。現在、道路保全課が管理する道路関連情報をはじめ約480項目のデータをネット上に公開した。それでも、「しずみちinfo」のように二次利用しやすいAPIでの情報提供は緒に就いたばかりで、大勝主査は「今回の取り組みをモデルにして他のオープンデータにも同様の取り組みができないか働きかけをしていきたい」と意欲を示している。
一方で、「しずみちinfo」は実証実験に成功したものの、まだ実用的なサービスを提供できる段階までは至っていないのが実情だ。静岡県内でのオープンデータの推進を進める官民組織、しずおかオープンデータ推進協議会事務局長の湯瀬裕昭・静岡県立大学経営情報学部教授も「全国の事例をいろいろ探したが、まだ、オープンデータが商業的に成功している例は見たことがない」と語る。なぜ、オープンデータの実用的な利用が広がらないのか。そこには一つの大きな壁が存在していた。