【書評】フリーライター・桃村茶保が読む『正しさをゴリ押しする人』榎本博明著 あなたのまわりにも… (2/2ページ)

『正しさをゴリ押しする人榎本博明著』榎本博明著
『正しさをゴリ押しする人榎本博明著』榎本博明著【拡大】

 正直、そういう人は昔からいたが、著者が問題視するのは、その攻撃の場のひとつとなるネット空間の広がりだ。

 瞬時に社会と直結し、匿名で一方的、無差別的に自己主張、情報公開できるネット空間は日々進化し、強力な“殺傷力”さえ持つ。「正しさをゴリ押しする人」は他者の傷みに思い至らず、攻撃を繰り返し、「深刻な人権侵害」をも生み出している。

 本書は正しさをゴリ押しする「危ない人」の心理をさぐり、さまざまな具体例から現代社会のあるべきコミュニケーションを模索する。著者は「結局、物事は理屈では決着がつかない」といい、相手の「論理の背後」にあるもの、「他者の視点」を想像し、共感しようとする姿勢の必要性を強調する。本書を読めば、身の回りにいる誰かが目に浮かび、他人事(ひとごと)ではすまなくなるはず。問題意識と危機感の共有を促してくれる一冊だ。(角川新書・820円+税)