【視点】広がる元日休業、現状は“囚人のジレンマ” 消費者どう受け止める? (2/3ページ)

ロイヤルホストの店舗=福岡市南区(中村雅和撮影)
ロイヤルホストの店舗=福岡市南区(中村雅和撮影)【拡大】

 確かに一連の動きは、長時間労働の是正など労働環境の改善につながることが期待され、政府が推進する「働き方改革」に好影響を与える可能性がある。

 だが、これがさらに拡大していくかについては現時点では、大いに疑問符がつく。というのも、こうした動きの背景には、飲食業を中心に深刻な人手不足があり、働き方を是正するために「あえて休む」というよりは、人材確保の観点から「休まざるを得ない」というのがむしろ実態に近いだろうからだ。

 帝国データバンクが8月に発表した調査によると、正社員が不足していると回答した企業は45.4%に上り、過去最高を更新したが、非正社員が足りないという企業も29.4%で、業種別では飲食店が78%にも上った。「天狗」のテンアライド幹部も「社員のリフレッシュを考えた」としながらも、「(人の確保が難しかったことも)否定できない」と認めている。

 人手不足は人件費の高騰に直結する。人材サービスのリクルートジョブズによると、11月の三大都市圏のアルバイトの時給は調査開始以来最高の1024円になり、業種別では飲食業の上昇率が最も大きかったという。大戸屋HDの窪田健一社長が「無理をして働き手を集めるよりも、従業員にも健康であってほしい」と語った背景には、こうした外食産業を取り巻く厳しい経営環境がある。

 とはいえ、営業日数を減らせば当然、売り上げにも響く。ましてや書き入れ時ともなれば、休業すれば「同業他社を利するのでは」と経営者は二の足を踏みがちだ。現状は「ゲームの理論」でいうところの“囚人のジレンマ”に近いのかもしれない。

問題はこうした動きを消費者がどう受け止めるか