人手不足、企業内教育に転換期 徒弟制度の刷新、最新技術を活用… (2/2ページ)

 学舎の生活は生半可なものではない。朝5時半に起床し、夜10時すぎまで工房に残る。食事などを挟みながら課題をこなし、道具を手入れする。生徒に手取り足取りで手作業から機械工作まで2年間教え込む。今は男女5人が会社近くで共同生活する。修業中は恋愛と携帯電話が禁止だが、美大出身の学舎2年生の加治志生吏さん(24)は「やりたいことだから、気にならない」と淡々とした様子。

 飛騨産業の岡田賛三社長(74)には機械化や熟練の職人の引退で、廃れゆく手作業の木工技術を残したいとの危機感があった。「一流の職人を育てたい」と力を込める。

 厳しい上下関係なし

 先輩の技を盗んで学ぶかつての徒弟制度との違いは、効率よく練られたカリキュラムだ。共同生活のルールはあるが、厳しい上下関係はない。玉田義卓学舎長(49)は「一流の職人になるには、集中することが必要だ」と話す。

 里村さんは大学で自動運転にも用いられるセンサー技術を学んだ。だが「人間の五感を機械に託す研究をするほど、自分の五感を研ぎ澄ましたくなった」とこの道を選んだ。

 後継者不在や中小企業の淘汰(とうた)で、各地で技能が失われつつある。指導役で会社OBの大嶋政一さん(63)は「利益があっての仕組みだ。すべての中小企業が同じことをするのは難しいのではないか」とため息をついた。