遺伝性難聴の治療に朗報 米大、マウスでゲノム編集に成功

 遺伝子を自在に改変できるゲノム編集技術を使い、遺伝性の難聴マウスを治療できたと米ハーバード大などのチームが英科学誌ネイチャーに発表した。

 難聴に関連する遺伝子は100種類ほど知られ、人の難聴の原因の半数を占めるとされる。成果は、これらの遺伝性難聴の治療に役立つ可能性がある。

 チームは、内耳にある「蝸牛」という組織の細胞で働くTmc1遺伝子に着目した。音を電気信号に変換する際に重要な役割を果たすが、両親から引き継いだ2つのうち、片方でも突然変異があると、遺伝性の難聴になる。

 治療には、世界で爆発的に研究利用が進んでいる「クリスパー・キャス9」というゲノム編集技術を利用。変異のあるTmc1だけを働かなくするように設計したクリスパー法の薬剤を脂質で包み、生後1日の変異を持つマウスの蝸牛に注入した。8週間後、試薬を注入したマウスは、注入しなかった場合と比べ、蝸牛の細胞が壊れず残っていた。このマウスは、大きな音を聞かせると驚くような反応をし、聴力があることを示した。