荒れ放題のまま…解決しない空き家問題 背景に「法と税」の事情 (2/3ページ)

 「フランス法では、第三者に『ここは自分の土地』と権利を主張するためには登記を必要とする、という考え方をとっています。ドイツ法のように登記しないと権利の変動そのものが成立しないという考え方もありますが、日本では採用されていません」

 所有者把握の仕組みに課題

 ところで、不動産には固定資産税がかかるはず。登記制度とは別に、行政は現在の所有者を把握しているはずだが、残念ながら所有者情報の把握の仕組みには課題が多い。

 市区町村は法務局の登記情報に基づいて固定資産税を課税している。戦前は税(地租)を徴収する税務署が土地台帳で所有者情報を管理していたが、戦後は土地台帳が登記簿に一元化された。そのため相続登記が行われない不動産については、自治体の税務担当者が相続人調査を行って現在の所有者を特定し、課税をしなければならない。

 「しかし、相続登記が長年放置される不動産は免税点(課税対象にならない資産額。土地は30万円、建物は20万円)未満のものも多い。課税対象にならなければ自治体が人員を割いて調査するインセンティブが働かない。事実上、後回しです」

政府も腰を上げる