高齢化社会なのに…病院・福祉施設が“大倒産時代”突入 報酬改定と人手不足で激震 (3/4ページ)

 これは、安易な起業や本業不振のため異業種からの参入など、事前準備や事業計画が甘い小・零細規模の業者が思惑通りに業績を上げられず経営に行き詰まったケースが多いとみられる。

 「老人福祉・介護事業」倒産の地区別では、全国9地区のうち、近畿24件(前年23件)、中部14件(同9件)、北海道7件(同3件)、中国7件(同5件)、北陸4件(同2件)の5地区で前年を上回った。一方、九州12件(同16件)と東北2件(同9件)の2地区で減少し、関東39件(同39件)と四国2件(同2件)が前年同数だった。

 医療、福祉事業の原因別では、最多が販売不振(業績不振)の137件(前年比2.1%減、前年140件)で、全体の過半数(構成比54.8%)を占めた。次いで、事業上の失敗が51件(前年比54.5%増、前年33件)、既往のシワ寄せ(赤字累積)が17件(同13.3%増、同15件)の順。

※写真はイメージです(Getty Images)

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◆大規模病院を経営していた地方の有力業者も破綻

 医療、福祉事業の形態別では、事業消滅型の破産が226件(前年比8.6%増、前年208件)と全体の9割(構成比90.4%)を占め、業績不振に陥った事業者の再建が難しいことを反映した。

 また、再建型の民事再生法は17件(前年11件)と増加した。この17件の主な内訳では「病院・医院」が6件、「療術業」が5件、「老人福祉・介護事業」が4件など。「病院・医院」の中には、地元では大規模な総合病院を経営していた地方の有力病院もみられた。

診療報酬の改定と人件費上昇が直撃