【著者は語る】作家、経営コンサルタント ケン・ブランチャード氏


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 □「1分間メンタリング」

 ■信頼関係築き、成果出す6つの鍵学ぶ

 日本の友人や同僚とメンター制度について話すと、「先輩と後輩」の関係と混同されることが多い。だが、「メンターとメンティー」の関係は2つの点で根本的に異なる。この違いを理解することは、キャリアアップを考える上では欠かせない。

 1つ目は、メンターとなりうる人間はどこにでも存在する点だ。最高のメンターは同じ会社の隣の部署にいるかもしれないし、別の企業に勤めているかもしれない。友人や近所に住む人の可能性もある。

 2つ目の重要な違いは、「先輩と後輩」が上から下への一方向であるのに対し、「メンターとメンティー」は双方向で互いに学びがある点だ。私が本書を執筆しようとしたのは、共著者クレア・ディアス・オーティスとの出会いがきっかけだった。

 当時、クレアは30代前半で私は70代後半だったが、クレアが私から学ぶように、私もクレアから多くのことを学び取り、成長できると気づかせてくれた。尊敬するメンターのひとり、ノーマン・ヴィンセント・ピールは「学ぶのを止めることは、死んでいることと同じだ」と言っている。重要なのは、常に学ぼうとする姿勢である。

 『1分間メンタリング』は、あらゆる年齢のさまざまな背景を持つ人々の知恵や技術を効果的に活用するためのものである。職場にメンター制度を導入するにはどうすればよいか。上司と部下のような上下関係ではなく、信頼関係を築くにはどうすればいいのか。仕事や生活に前向きな変化を起こすために、メンターとメンティーは互いにどのように協力できるのか-。本書はこのような重要な問いの答えを示している。

 読者は、仕事に意欲を持てない若き営業担当のジョシュ、かつての情熱を失っている経験豊富な会社役員ダイアンという、2人の物語を通じて学んでいく。読み終わるころには、メンタリングで信頼関係を築き、成果を出すために必要な6つの鍵を学んでいるだろう。(1404円、ハーパーコリンズ・ジャパン)

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【プロフィル】ケン・ブランチャード(Ken Blanchard)

 世界的に著名なリーダーシップの専門家。ベストセラー『新1分間マネジャー』(ダイヤモンド社)などの〈1分間〉シリーズのほか、共著書60点が40言語に翻訳されている。総発行部数は2100万部を超え、2005年に歴代アマゾン売り上げ25位の著者としてアマゾン殿堂入りを果たした。数多くのリーダーシップに関する賞を受賞。妻のマージーとケン・ブランチャード社を創業し、国際的な経営コンサルティング・研修を展開している。公式サイトはwww.kenblanchardbooks.com、ツイッターのアカウントは@kenblanchard