【Luxeな日本~地元発】割れてなお愛しく 今、金継ぎが人気 佐伯桃子

佐伯桃子
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  • 金継ぎが完成するとこうなる
  • 結婚記念の皿を修復する女性
  • 思い出の品を修復したい、と満員の金継ぎ教室
  • 蒔絵を習いに来ていたスイス人は「金継ぎも日本ならではの美しい文化」

 3歳になる娘のお気に入りのカップを割ってしまった。あわててネットで調べると割れた皿や茶碗(ちゃわん)をよみがえらせる「金継ぎ」が、世界の注目を集めていることを知った。漆や小麦粉、金などを接着剤に使った安土桃山時代頃からある修復法だ。

 東京・台東区の漆取扱店「播与 漆行(はりよ しっこう)」を訪ねた。骨董品(こっとうひん)の修復もあるが、結婚記念に買った皿、子供が作った陶器の人形、自分の陶芸作品などを修復する人で教室は満員。40クラス・約150人が学んでおり、外国人もいる。

 費用は約1万円、完成まで2カ月以上もかかるが、通う人は年々増加。「割れた物が生まれ変わる楽しさ」「世界にひとつだけの宝物になる」のが魅力だという。何度も漆を重ねて磨き、最後に金粉で仕上げるとヒビ割れも欠損も華やかによみがえる。東日本大震災や熊本地震以降、物を大切にする価値観が定着しつつある。

 店では自宅で金継ぎができるキットを開発(7600円+税)。ホームセンターなどで販売しており、月400セットを売り上げるという。フランスで販売を始めたところ好評で、今年は中国にも販路を広げるそうだ。

 私も割ってしまったカップを金継ぎで直すことに決めた。娘よ、待ってておくれ。

 【luxe(リュクス)】 フランス語で元の意味は「贅沢」。最近は優雅で上品でありながら、洗練された贅沢なもの・ことなどの意味で使われる。

<プロフィル>

 さえき・ももこ NHK出身。「おはよう日本」「ゆうどきネットワーク」などを担当。現在はNHK総合「ニュースシブ5時」に出演中。

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