「ストレスがない」と思い込むのは間違い
ただし、ここで注意してほしいことがあります。
ストレスは悪いものというマインドセットを変えるのはいいのですが、「ストレスがない」と思い込むのは間違いだということです。ストレスがないと思い込む人は、ストレスから目を背けているだけです。それでは意味がありません。ストレスを味方につけるためには、自分がストレスを受けていると認めることが第一歩です。ストレスから目を背けるのではなく、直視することが必要なのです。
スイスのチューリッヒ大学で行われた実験では、期末試験と冬休みという1年の中でも特にストレスが多い時期が過ぎたあとに、学生のストレス対応度を調べています。その結果、集中力や体力、自制心の低下が最も著しかったのは、「ストレスを避けたい」という思いが強い学生たちでした。
また、退役軍人を対象にした調査でも、ストレスの対処法について「できるだけ避けるようにしている」と答えたグループにうつ病が多いという結果が出ています。
ストレスは、避けようと思えば思うほど、悪い影響をもたらすというわけです。
ストレスは解消するよりも活用する
ストレスを避けようとする傾向は、ストレスをうまく味方につけられない人たち、ストレスをうまく使えない人たちに共通して見られる特徴です。
ストレスが害になると考えている人は、ストレスと向き合わないようにしたり、見て見ぬふりをしたりします。あるいは、ストレスの原因となっている問題の解決には向かわず、買い物をしたり、甘い物を食べたり、お酒に逃げたり、一時的な「ストレス解消」に逃避します。
もちろん、これで本当にストレスが解消されることはありませんし、ましてストレスを活かすことなどできるはずもありません。