注目集める退職者の復職制度 即戦力に期待

 多くの企業で人手不足が深刻化する中、一旦退社した元社員を再雇用する復職制度に注目が集まっている。新人教育が不要で、即戦力としての活躍が期待されるためだ。厚生労働省が4月に、経団連や経済同友会などの経済界に対し、退職者の再入社を可能にする制度策定を要請しており、取り組みが加速しそうだ。

 サツドラホールディングスのグループ企業で、北海道でドラッグストアを展開するサッポロドラッグストアーでは2月、復職制度の「ウェルカムバック制度」を導入した。発表直後から退職者からの問い合わせが相次ぎ、4月末までに、十数人が同制度を利用して復職した。

 人手不足が問題視される小売業の中でも、ドラッグストアでは、薬剤師や一般用医薬品を販売できる登録販売者が不可欠で、人材確保は厳しい。同社の今回の復職者の多くは資格を保有。復職者数も想定を上回り、担当者は「反響は大きい」と喜ぶ。

 製造業でも復職制度の導入が進んでいる。昭和電工やフォスター電機などに続き、TDKも昨年10月に「ウェルカムバック制度」を導入した。各社とも結婚、出産、育児、介護などで退職した人が中心で、転職による退職者は対象にしていないケースが多い。

 人材採用会社のエン・ジャパンが発表した実態調査では、退職した社員を再雇用したことがある企業は72%を占めた。2年前の調査は67%で、受け入れ実績は着実に増えている。