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「公的年金は日本社会・経済の縮図」 "ミスター年金"が論破する公的年金潰れる説 (2/6ページ)

 ▼年金は貯蓄でもなく、金融商品でもない

 このことから、公的年金を考えるときのポイントをいくつか導き出すことができます。

 第1に、公的年金は「付加価値の分配」ですから、経済の実力以上の年金制度というのはありえません。もし現役世代が負担に耐えきれず年金が潰れるというときが来るとしたら、その前に日本経済が潰れているはずです。逆に言えば、日本経済が潰れない限り、公的年金は潰れません。

 第2に、年金が抱える課題は年金の世界だけで考えていても解決できません。処方箋の多くは年金制度の外にあります。少子化/家族支援対策・経済政策・雇用労働政策等々、日本社会・経済の課題解決が年金制度の課題解決につながります。

 第3に、経済学者の大好きな年金の財政方式に関する論議は問題解決にとって意味を持ちません。積立方式でも賦課方式でも、民営化しようがどうしようが、「現役の生んだ付加価値の分配」という制度の本質に変わりはありませんから、それで給付水準が上がるわけでも年金財政がより安定するわけでもありません。制度が潰れるわけでもないのに、土台ごとひっくり返すような制度変更をするのは馬鹿げています。

 もうひとつ大事なことがあります。公的年金は「貯蓄」でも「金融商品」でもない。「保険」だということです。何を「保険」の対象にしているかというと、「長生きのリスク」です。寿命は誰にもわかりません。「長生きしても困らない」ためにあるのが公的年金です。だから世界中どこでも公的年金は必ず「終身給付」です。

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