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「公的年金は日本社会・経済の縮図」 "ミスター年金"が論破する公的年金潰れる説 (3/6ページ)

 「生きている限り、いつまででも保障します」が公的年金の基本機能です。払い込んだ保険料の総額とは関係ありません。金融商品である私的年金との決定的な違いはここにあります。「保険」ですから損得論は無意味です。死んでお金は持っていけませんし、その必要もないはずです。

 以上、簡単なことですが、多くの経済学者のみなさんは、社会保障の基本哲学をちゃんと勉強していないのかよくわかっていない人が多いです。「公的年金は潰れる」「巨額の債務超過・積立不足がある」「民営化すれば効率化できる」なんてまだ議論している人がいたら、その人の唱えている社会保障論はまず「トンデモ系」と思っていただいて結構です。

 今後30年間が「労働力人口減⇔高齢者増」の厳しい時期

 これらのことを頭において、これから10年、20年先の公的年金制度がどうなるか、どうすればいいのかについて考えてみます。

 図をご覧ください。今後、労働力人口は減少します。現在6600万人の労働力人口は2030年には最大5300万人にまで減少し、その後も減少していきます。他方で65歳以上の高齢者人口は2040年あたりまで増え続け、その後減少に転じます。その後は労働力人口も高齢者人口も減っていきますが、高齢世代と現役世代の人口バランスは取れていくので年金制度は安定していきます。つまり、今後20~30年間が「労働力人口が減るのに高齢者は増え続ける」という一番厳しい時期だということです。この「胸突き八丁」をどう乗り切るかが日本社会と経済全体の課題であり、社会保障と公的年金制度の課題でもあるわけです。

 この課題を解決する抜本的な対策は、支え手=働く人を増やし、総人口に占める労働力人口の割合を増やすか、増やせないまでもせめて維持するかしかありません。

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