テレワークで高齢者雇用を 淑徳大総合福祉学部・結城康博教授


【拡大】

 政府は「高齢社会対策大綱」を今年2月に閣議決定し、70代まで現役で仕事を続けるなど年齢にかかわらず働くことができる社会環境を目指すことを打ち出した。

 ただ、高齢者雇用の状況を見ると、2016年の65~69歳の就業率は42%と半分に満たず、70~75歳に至っては25%と激減する。しかも、65歳までの再雇用制度は定着してきたとはいえ、60~64歳の就業率は63%にとどまる。

 こうした現状の打開策の一つとして、情報通信技術(ICT)を活用したテレワーク雇用の普及が挙げられる。必ずしも決まった時間に出退社せず、時間や場所を有効に活用できるメリットがある。

 日々、満員電車に乗らず通勤負担が軽減され、65歳を過ぎても働き続けられる可能性が高くなる。会社に出勤せずに自宅などで働くテレワーカーの割合は16年度、7%程度にすぎなかったが、政府は20年には倍増させていく方針だ。

 もっとも、テレワーク雇用の促進は現役世代にとっても有益である。総務省資料によれば、身内の看護や介護のために離職する人は現在、年間10万人にも上るという。

 筆者が介護現場で働いていたとき、親の介護のために仕事を辞めた女性が「通院や朝夕の食事の支度・買い物など、フルタイムで対応するのは日中ヘルパーを頼んでも限界だ」と語っていたことを思い出す。もし、テレワーク雇用が可能で、10~16時の勤務が許されていれば、その女性は「介護離職」せずに済んだかもしれない。

 また、保育施設の不足、待機児童の問題が都市部を中心に深刻化しているが、日中10~16時勤務が常態化すれば、必ずしも子供を長期間、預かってもらうための保育園を探す必要はない。文部科学省資料によれば現在、幼稚園であっても9時から17時までの「預かり保育」が増えている。

 確かに業種によって難しい側面はあるが、テレワーク雇用の促進は高齢者の就業人口を増やすだけでなく、介護離職防止や待機児童解消の一つの切り札となり得るのではないだろうか。