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欧米や中国が大盤振る舞いする中で…日本人の給与が永遠にショボい深刻理由3 (2/4ページ)

 ▼日本企業のトップの倍率は従業員の2桁台

 一方、日本の上場企業には「ペイ・レシオ」の開示義務はないが、「日本経済新聞」(2018年5月13日)の記事では、有価証券報告書に記載された平均給与を使い、従業員と経営トップの倍率を試算している。

 それによるとアメリカ企業のトップの倍率が3桁台に対し、日本企業のトップの倍率は従業員の2桁台にとどまっている。

 また、フェイスブック、グーグル、ネットフリックスの従業員の中央値が2000万円を超えるのに対し、日本のソフトバンクグループやトヨタ自動車といった一流企業がその半分以下であることから、日本の低い給与が今後の人材獲得に支障を来すのではないか、と指摘している。

 なぜ日本企業の給与は上がらないのか?

 確かにアメリカのトップ企業に限らず、最近の中国では日本の企業以上に報酬を出す大手企業が増えている。

 なぜ日本企業の給与は上がらないのか。

 代表的な主張のひとつは「日本の解雇規制が厳しいからだ」というものだ。外資系企業は業績が悪化すれば大幅に給与を減らし、解雇できるので高い給与を設定できるが、日本は業績が悪化しても解雇できないから低い給与にせざるを得ない、という理屈だ。しかし、これは短絡的で、実態に即した分析とは言えない。

 厳しいという「日本の解雇規制」だが、労働契約法16条で「解雇は、客観的に合理的理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と書いてあるだけで、厳しいも何も、ごく当たり前の規定があるにすぎない。

 解雇される理由のない恣意的な解雇を禁じているだけであり、業績が悪化し、事業が立ちゆかない場合は最高裁の判例である「整理解雇の4要件(※)」を満たせば解雇できる。

 ※(1)人員整理の必要性(2)解雇回避努力義務の履行(3)被解雇者選定の合理性(4)解雇手続の妥当性

 もちろんアメリカのように使用者と労働者双方に契約自由の原則がある国からすれば厳しく見えるかもしれない。だが、米国系企業であっても日本で事業を行う以上は日本の法律下にある。実際に日本の判例を知らない外資系企業が簡単に社員のクビを切ったために訴訟を起こされる事例は珍しくない。

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