【講師のホンネ】障害者雇用促進は教育現場から 紺野大輝

 先日、とある小学校の道徳の授業で講演をした。私が生まれた直後から4年間の入院生活を送ったこと、小学校から普通学級に通ったこと、32歳のときにフルマラソンを11時間で完走したことなど、大人向けの講演と大筋は変わらない話をした。最初は緊張気味だった子供たちも、話が進むにつれ関心をもって聞いてくれるようになった。

 講演後、質問タイムを設けた。先生からは質問が出ない可能性があると聞いていたが、実際は「体育の授業はどのように参加していたか」「学校生活で楽しかったことは何か」「人生で一番辛かったことは何か」とチャイムが鳴るまで次々と手が挙がる。疑問に思ったことを率直に聞いてもらえるのは、うれしい。知識として障害者を知っている子もいるが、こうして実際に触れあうという経験が大切と感じた。

 障害者雇用が進まない理由に多くあげられるのは、障害者と関わったことがなく、どう関係性を築いたらよいかわからないというものだ。しかし小さなころから障害者と接していればこの問題は解消される。

 高校の講演では、「企業には障害者を雇用する義務がある。みなさんも社会に出たら障害者と一緒に働く可能性がある。そのときどうすればよいと思うか」と問う。するとそれぞれが考え自分なりの意見を持つ。「法律で決まっているから仕方なくという会社は長くは続かないと思う。お互いができないことを認め協力して仕事をしていきたい」と答えた学生もいる。

 障害者雇用を浸透させるには子供の教育に力を入れるのは有効な方法の一つである。子供がいる家庭では、地域の障害者と交流するイベントやボランティア活動に参加するなど、障害者と関わる機会をぜひ積極的に持ってもらいたい。

 私も障害者や障害者雇用について少しでも知ってもらえたらと可能な限り学校に伺っている。障害があってもなくても完璧な人間はいない。できないことがあっても落ち込んだり自分はダメな人間だと思ったりする必要はない。一人でできないことは、周りの人と支えあい協力すれば可能性は生まれる。いつも講演の最後にこの話をする。未来ある子供たちに希望をもって人生を歩んでほしいと願って、今日も全国を飛び回っている。

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【プロフィル】紺野大輝

 こんの・たいき 1976年、北海道生まれ。生まれつき脳性まひの障害を持つ。現在は従業員1700人の企業の人事部に勤め、現役の会社員として働く傍ら障害者雇用の研修や障害者の就労支援を全国で行う。講演回数は250回を超える。「全国・講師オーディション2015」で「奨励賞」受賞。16年12月、「障がい者の就活ガイド」(左右社)を出版。