維持できれば実は良いほう…転職先、「年収」で選ぶと大失敗するワケ (5/6ページ)

 「各企業が今求めているのは、過去の成功体験やマーケティング結果から導き出されたものではなく、競合他社がまだ見出せていない新たなサービスや商品、要は未来のニーズやシーズを捉えてビジネスにしていくことです。他社と競合すると結局は低価格競争になってしまいます。同じ業界出身者からは先入観が邪魔をして常識を超えるアイデアが出てこない。企業が求めているのは業界経験よりもイノベーションを生み出せるビジネスプロデュース力を持っている人です」(森本さん)

 これまでは骨を埋める覚悟で定年まで働くというロイヤルティを企業は求めてきたが、今は逆に「定年まで働きたい」と宣言されては企業も困る。

 「年齢が上がれば上がるほどフリーランスのように〈株式会社自分〉という意識を持つことです。本当に実力があるのなら転職に年齢は関係ありません。出せる成果があればオファーはある。でも年齢の影響を受けてしまうのは、実力がないか、自分の価値を相手に見せられていないということです」(黒田さん)

 35歳を過ぎたら、自分の市場価値を知るためにも転職エージェントを活用するのはマスト。転職エージェント選びのコツはあるのだろうか?

 「弊社のようにミドル世代に強いとか、管理部門に強いなど転職エージェントにも特徴があるので、それを知って選ぶことです。できればセカンドオピニオンを聞くためにも複数のエージェントと話したほうがいい」(黒田さん)

 「成功体験にこだわりすぎず、先入観を捨てて、選択肢を多岐に広げれば、思いもかけない化学反応が起こる可能性もあります。どんな球も振ってみないことには、手応えはわからないものです」(森本さん)

 転職成功の秘訣は、まずエージェントに、この人をあの企業に紹介したいと思わせる人間力かもしれない。

各年代の転職のポイント