西日本豪雨で被災の乳幼児や高齢者ら、無料で受け入れ 岡山の宿泊施設「支援、自分たちの番」

 西日本豪雨の影響で利用客が減っている岡山県の宿泊施設が、乳幼児や高齢者など支援が必要な被災者を無料で受け入れている。8月末までの予約が例年の半分ほどだが、いち早く支援を決めた鷲羽山下電ホテル(同県倉敷市)の永山久徳代表取締役(49)は「東日本大震災や熊本地震の際、被害を受けながらも被災者支援を続けた同業者に感銘を受けた。次は自分たちの番だ」と話す。

 「子どももストレスなく過ごせて、ありがたい」。中学1年から3歳まで男女3人の子どもがいる会社員石田龍介さん(36)は喜ぶ。倉敷市真備町地区にある自宅が2階まで浸水し、避難所に身を寄せた。厳しい暑さが続く中、エアコンのない体育館は過ごしにくく、子どもの体調が心配だったが、家族5人で11日から同ホテルに滞在することができた。

 県によると、無料で宿泊できるのは被災者のうち乳幼児や妊産婦、障害者、高齢者と、その家族ら。食事も無料で提供され、宿泊料は県が負担する。岡山県旅館ホテル生活衛生同業組合に加盟する県内50軒の宿泊施設が約千人分の客室を用意し、7月末まで滞在可能。9日に受け入れを始め、既に数十人が利用した。

 同組合の臼井正一郎代表理事(81)は「今は被災者が最優先。心を癒やしてほしい」と話す。一方、自身が会長を務める鷲羽ハイランドホテル(倉敷市)も8月末までの予約が例年の約3割しか埋まっておらず、地元経済の落ち込みを心配し「今こそぜひ倉敷に来てほしい」と呼び掛けている。