
【西日本豪雨被害】市立矢野南小学校の避難所に設置された段ボールベッド=16日午前、広島市安芸区(宮崎瑞穂撮影)【拡大】
「雑魚寝は適切な睡眠環境とはいえず、体力の低下につながる。段ボールベッドが避難所の環境改善の第一歩になれば」。こう話すのは、全国段ボール工業組合連合会(東京)で「防災アドバイザー」を務める水谷嘉浩さん(47)だ。
床の上に大勢の避難者が寝る「雑魚寝」は体が冷えたり、足音や振動が伝わりやすい。人の出入りで床のほこりが舞い上がりやすく、肺炎など感染症のリスクも高くなる。水谷さんによると、段ボールベッドで寝た場合は頭が床から30センチ程度高くなるため、ほこりを吸い込む量が減る。起き上がる動作も楽になり、体を動かさずにいると発症しやすいエコノミークラス症候群の予防にもつながるという。
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平成26年の広島市の土砂災害や、28年の熊本地震でも、避難所に導入。災害時に段ボールベッドの提供を受ける防災協定を段ボールメーカーなどと結ぶ自治体は増えており、7月時点で全国283の市区町村と29の都道府県が締結している。西日本豪雨では協定に基づき少なくとも広島市に約150台、岡山県倉敷市に約2700台、愛媛県に約千台が運ばれた。