教育現場で、先天的に色の見え方が違う色覚障害の人に配慮する「色覚バリアフリー」に取り組む動きが増えてきた。国内に約300万人いるとされる当事者が苦労する“色の壁”。学校の健康診断で検査の必須項目から外れたため、自分の色覚障害に長年気がつかない例もある。学用品や教材など、誰もが見やすい配慮が求められている。
赤や青も大丈夫
「1画目、2画目…」
千葉県松戸市立殿平賀小学校4年の国語の時間。担任の坂寄宏子教諭が漢字の書き順を1画ずつ色分けして板書した。同校は、昨年から色覚障害に対応した色覚チョークを導入。朱赤、黄、青、緑の4色を授業に使う。
ピンクや水色が見分けにくい色覚障害の人は、一般的なチョークの赤や青が見分けづらい。「日光が当たると見えにくかった赤がはっきり分かる」など障害の有無に関係なく、児童らに好評だ。坂寄教諭は「どんな色も気にせず使えるようになった」と話す。
普通のチョークと価格は変わらないため、松戸市教育委員会では、4月からは色覚チョークだけを共同購入している。市内の公立小中学校で順次、切り替えが進む。
同県柏市や兵庫県伊丹市でも導入されているが、自治体としての取り組みは、全国的には始まったばかりだ。