放流タイミングなど課題
市街地に近いという希少性がある天ケ瀬ダムだが、課題もある。放流する時間帯が不透明なのだ。「事前に放水の日時が分からないとツアーの募集をかけられない」と脇社長。さらに放流中は発電ができないため、関電の協力はもとより、ダムを管理する淀川ダム統合管理事務所との調整が必要になる。
安定的にツアーを行うためにも、連絡体制の構築など関係機関のシステムづくりが求められる。参加者の安全対策や案内役など管理上の調整も欠かせない。
同管理事務所によると、天ケ瀬ダムでは上流の琵琶湖の水位が降雨などで上がると、それに合わせて放流される仕組み(通常放流)になっており、頻度は年間50~100日だという。澤村滋男副所長は「他のダムと比べても通常放流が多いダム。ダムの役割を広く知ってもらうためにも、見学者が来るタイミングに合わせる観光放流の実現に向け、できるだけの協力はしたい」と話す。
同法人は関係機関との調整を進める一方、8~9月に計5回、ダムツアー第2弾を計画中だ。天ケ瀬ダムに加え、府南部の南山城村にある高山ダムの2カ所をめぐる。参加者のモニタリングを行い、定期ツアーが可能か検証していくという。
脇社長は「外国人観光客が天ケ瀬ダムを訪れ、SNSを活用してその魅力を広めてくれれば。なんとかして定番ツアーに育てたい」と期待を込めて話した。