他大学相次ぎ撤退の千葉・館山で唯一の学生運営の海の家 65年目の夏迎える 立教大生運営の「キャンプストア」

立教大広告研究会の学生が運営する海の家「キャンプストア」=千葉県館山市の北条海岸(永田岳彦撮影)
立教大広告研究会の学生が運営する海の家「キャンプストア」=千葉県館山市の北条海岸(永田岳彦撮影)【拡大】

 千葉県館山市の北条海岸で立教大の学生が運営する海の家「キャンプストア」が今年で開店65年目を迎えた。昭和28年に製菓会社の森永製菓が「新しいレジャーの開発」を目的に資金などを支援し、都内の大学に呼びかけた「学生キャンプストア」が源流。森永製菓の支援打ち切りで他大学が相次いで海の家の運営から撤退する中、地道な協賛企業集めやSNSを使った情報発信による集客などで館山で唯一の学生運営の海の家として今夏も営業を続けている。

 海の家を運営するのは同大広告研究会所属の2、3年生約50人。7月27日から8月27日までの間、市内に泊まり込みながら交代で店を切り盛りし、南国をイメージしたマンゴーベースのオリジナルカクテルや地元の人気老舗喫茶店のアイスコーヒーなどを提供している。

 店の営業期間中には同会が秋の学園祭で主催する「ミス立教」「ミスター立教」を選ぶコンテストの出場予定者約10人も訪問。それぞれのSNSのフォロワーは数千人おり、同市や海の家について投稿してもらうことで“集客”につなげる。

 今年の店長で同大3年の遠矢拓隆(とおや・ひろたか)さん(20)は海の家の運営について、「広告について学ぶ上で、その実践の場としての役割もある」と指摘する。

 森永製菓の支援撤退後、各大学は自前で協賛企業集めなどを行っていたが、海水浴客の減少や資金面の問題などから徐々に撤退。一方、同大は冬や春から、協賛企業集めの企業訪問を行うなどしており、今年も大手飲料メーカーや地元の飲食店や旅館など約20社が協賛している。

 遠矢さんは「65年も続いてきた。今年もしっかりと運営して、後輩に受け継ぎたい」と話している。