北海道地震1週間 緊急策実施も謎残る全域停電 検証に時間 (2/3ページ)

液状化現象が確認された北海道電力苫東厚真発電所=北海道厚真町
液状化現象が確認された北海道電力苫東厚真発電所=北海道厚真町【拡大】

 このため、一部の顧客や地域への電力供給を止めて需給バランスを整える「負荷遮断」という手法がある。東京電力は東日本大震災の発生時に供給力が急減したが、この手法を用いてブラックアウトを免れた。北電も今回、負荷遮断を試みた。

 こうした対応でいったんは需給バランスを取り戻したが、何らかの原因で需給バランスが再び崩れ、3時25分に1号機(35万キロワット)が停止。道内で他に動いていた3基の火力もほぼ同時に停止し、本州からの送電もできなくなり全域停電に至った。

 交流の電気は一定の周期で流れが変わり、その周期を1秒間に繰り返す回数が周波数。関係者によると、周波数の波形をみると、需給バランスは「地震発生直後に大きく乱れ、その後にほぼ元に戻ったが、再びふらつき、最終的にブラックアウトに至った」という。

 需給バランスがなぜ再び崩壊したのか、現段階では判然としない。経済産業省は「速やかに検証プロセスの準備に着手したい」(幹部)として、北電と全国の需給調整を担う電力広域的運営推進機関に周波数などのデータ提出を指示。専門家を交えた解析を進める。

 横浜国立大学の大山力教授は「日本は需給バランスを欠いた地域を他の電力網から切り離しやすく、ブラックアウトが起こりにくいとされていた」とする一方で、今回のブラックアウトを踏まえ「北海道には直接は当てはまらないものだったかもしれない」と話す。

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