世界のマーケットから日本の伝統まで。終わることのない挑戦。
「しょうがないから作るか、というモチベーションの低いスタート」と松岡氏が笑う組み立て式段ボールマネキン。しかしその斬新な発想は、瞬く間に各所からの注目の的となりました。ミキモト銀座本店のマネキン、エルメスのディスプレイなどを手がけたことで、さらに知名度に拍車がかかりました。
また新たに制作したミニチュアキットではサンリオ、東宝、ムーミンなど、さまざまなキャラクターとのコラボレーションも実現。とくにビジネスパートナーの選定にシビアなことで知られるディズニーは、相手側からオファーがあったといいます。さらに同様の構造を使ったパッケージは、ワインや自動車メーカーのノベルティにも採用されました。まさに大躍進といえる活躍です。
創業20年となった2018年には、社名を国東時間株式会社に、商品名を「d-torso」から「FLATS」に一新。そしていま、松岡氏はさらなるステージに挑戦しています。それが能舞台の美術製作。薪能の舞台を飾る「老松」を、史上初めて立体造形物で表現することに挑んでいるのです。
松の複雑な形を表現する難しさだけではありません。もともと2次元である「老松」を一度3次元のデザインにしてから、それを再び2次元に。さらに組み立てて3次元にするというステップが、松岡氏の新たな挑戦なのです。あるいは海外からも高い評価を得た「FLATS」が日本の伝統芸能に立ち返るという挑戦でもあります。
「平面パーツを組み立てて3次元を表現する」という基本構造は変えず、さまざまなジャンルに果敢に挑む国東時間株式会社と松岡勇樹氏。地名を冠した社名と共に続くその活動は、いまや地域の方々の誇りとなっていることでしょう。
住所:大分県国東市安岐町富清3209-2 MAP
電話:0978-64-3002