また、富山県射水(いみず)市では23年から「もみ殻循環プロジェクト」を開始した。プロジェクトでは、米の収穫時に大量に排出される「もみ殻」を温度を調節しながら燃焼。燃やした熱は冬場のイチゴ栽培用のビニールハウスの暖房に活用したり、焼却灰は肥料として再利用したりする。26年には焼却法などについて特許を取得し、今年5月には専用の焼却炉も完成。年間約300トンのもみ殻焼却が可能になり、今秋から実用化が始まる。
JAいみず野(同市)の担当者は「個人用の炉の開発も進めている。廃棄物として処理されることが多かったもみ殻が有効活用できるので、他市からの視察も多い。全国に広がってほしい」と期待する。
このように、野焼き以外の取り組みは全国で進められているが、三田市環境衛生課は「三田市は兼業農家が多いので、すき込みをするのは農家の負担が大きい。大規模な焼却炉をつくったりするのも現実的ではない」といずれも消極的。「効率的で農家に負担をかけないような野焼き以外の方法を探したい」とするが、いまだに解決策が見つかっていない。
秋は野焼きの季節だ。同市内で農業を営む男性(59)は「野焼きを禁止したら国内農業の衰退につながる」と主張する一方、「野焼きをしない方法があるのであれば対応したいという思いはある」と話す。その上で、「農家だけの問題ではなく、一般市民も野焼きに対する理解を深める努力をしてほしい。一緒に農業について考えて」と訴えた。