新就活ルール 中途採用拡大、「世界標準」の鍵 大学側からは形骸化懸念強まる (1/2ページ)

就職活動が解禁され、各企業のブースに集まる学生たち=3月
就職活動が解禁され、各企業のブースに集まる学生たち=3月【拡大】

 現行の経団連の指針に基づく就活日程は、2022年春以降も当面は維持される方向だ。政府は中途採用市場の状況もにらみながら、徐々に「世界標準」である通年採用を広げたい考えだが、大学側からはなし崩し的なルールの形骸化に懸念の声も強まっている。

◇  ◇  ◇     

 政府は15日、新たな就職・採用活動ルールの策定に向け、関係省庁連絡会議の初会合を開いた。現行の採用活動解禁などの日程は現在の大学2年生が対象となる2021年春入社の就活から廃止されるが、学生らの不安に配慮し、同年春入社組は現行日程を維持することで一致した。今月29日の次回会合で正式決定する。

 15日開かれた関係省庁連絡会議の初会合では、経団連が就活日程を定めた指針を21年春入社の学生から廃止すると決めたことを受け、真っ先に影響を受ける同年春入社組に絞って取り扱いを検討。性急な改革に対する大学側の懸念に加え、経団連が「今回は『経団連主導の就活ルール策定』という現行の枠組みが廃止されればいい」と政府側に伝えてきたこともあり、就活ルールの見直しは最小限となった。

 今後は新卒一括採用など中長期の就活ルールのあり方について、政府の未来投資会議で検討することになる。政府としては、経済のグローバル化が進む中、世界で通用する有能な人材を確保するためには通年採用の拡大が必要との認識だが、「中途採用がもっと増えて雇用が流動化しなければ、通年採用を全面的に導入するのは無理だ」(政府高官)との見方も根強い。未来投資会議での議論も、就活ルール見直しの大きな方向性を示すだけで終わりそうな雲行きだ。

続きを読む