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かつてない和紙アイテムで伝統に革新を[FIVE/富山県南砺市] (2/2ページ)

長谷川哲士氏と角田真祐子氏が主催する『minna』は、伊勢丹・三越・FELLISIMOなどのプロジェクトで名をはせていました。さらに地域おこし関連のプロダクトやイベントまで手がけており、「みんなのために・みんなのことを・みんなでやっていきたい」をモットーにしていました。和紙にまつわるデザインの経験もあった『minna』は、石本氏の依頼を「面白いね」と快諾。そして五箇山までわざわざ足を運び、五箇山の風景や和紙づくりの様子を視察した上で、約1年もの時間をかけて構想を練ってくれました。

「せっかく取り組むのだから、五箇山の和紙を後世にまで残していけるブランドにしたい」--石本氏のそんな想いに応えて、『minna』の二人は検討を続けたのです。

高い伝統技術はそのままに、時代に即したプロダクトに転換。

ブランド立ち上げの期日は、2013年冬の東京での発表会。それまでに、もともとあった和紙商品の経験を生かしながらも、全く別の新商品を生み出さなくてはなりませんでした。

その軸となるコンセプトが定まるまでには、石本氏も『minna』も非常に悩んだそうです。ですが、既存の和紙製品や和紙産業全体の課題を考慮した結果、「現代のセンスに即したオシャレなプロダクト」「伝統産業に興味のない若者にも魅力的なもの」「普段使いできるアイテム」といった方向性が定まったのです。

「『とにかく今までにない新しいものを!』と考えた末に、自然に囲まれた五箇山の風景の中にキラリと光る色--蛍光色をイメージすることにしました」と石本氏。「そのアイデアは『minna』が提供してくれましたが、『和紙と言えばナチュラル』『和紙アイテムの色と言えば渋い伝統色や中間色』といったイメージから抜け出して、『FIVE』ならではの個性を追求することにしたんです」と振り返ります。

ですが、実際に和紙を蛍光色で染めてみた先例はほとんどなく、実際に作ったという人もまた見当たりませんでした。そこで石本氏は、まずは手探りで試作を始めました。

和紙×蛍光色の実現はいかに? 

「最初はどうやって蛍光色に染めればいいのかすらわからずに、いろいろ試行錯誤してみたものの、全くうまくいきませんでした。蛍光色の特徴である鮮やかさが出ずに苦心していたところ、ふと『シルクスクリーンでやってみたらどうだろう』というアイデアが浮かんだんです。それを五箇山和紙の伝統である「手揉み」という製法に載せてみたところ、見事に美しい蛍光色に染まってくれました」と石本氏は語ります。

道が開ければ、あとはトントン拍子でした。『五箇山和紙の里』がもともと作っていたアイテムの中から、普段使いに適したものや、若者が手に取りやすいものを厳選。カードケース・ブックカバー・メモロール・封筒(ポチ袋・金封)の5種類の商品が、2013年冬の発表会までに完成しました。

「和紙の産地は全国各地にありますが、五箇山和紙ならではの特長は“強くしなやかなこと”です。標高が高くて寒暖の差が激しいため、原料の楮(こうぞ)の繊維が強く育つんです。それを昔ながらの製法で漉いて、対照的に斬新な蛍光色をのせました。さらに『揉み紙』という製法で強靭にしています。和紙の固定観念を打ち破る、型にはまらない、それでいて、和紙の伝統と可能性を生かした製品になったと自負しています」と石本氏。

長い歴史と高度な技術を誇る伝統工芸でありながら、地元の人々の認知度や、若い世代への訴求力が不足していた五箇山和紙。それを全く新しいプロダクトとして生まれ変わらせて、『FIVE』は完成したのです。

住所:富山県南砺市東中江215

電話:0763-66-2223

営業時間:9:00~17:00

休日:年末年始

写真提供:一般財団法人 五箇山和紙の里

http://www.five-gokayama.jp/

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