インフルエンザの予防注射は打つべき? 本当に効果があるのか? (1/3ページ)


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 皆さんは、毎年、インフルエンザの予防接種を受けているだろうか。

 デング熱に対する心配がまだ渦巻いていた9月、千葉県君津市、島根県出雲市、東京都日野市、岐阜県美濃加茂市の小中高校で、早くもインフルエンザの集団感染による学級閉鎖が相次いだ。インフルエンザの流行は例年12月から翌年3月くらいまでだが、予防注射を受けるか、打つとしたらいつがいいのか悩ましい。身近にも、予防注射を打ったにも関わらずインフルエンザにかかった例がある。インフルエンザワクチンは本当に効果があるのだろうか。

 実は、インフルエンザの予防注射には、感染を予防する効果はない。感染とは、ウイルスが鼻や口の粘膜から体に入り細胞内で増殖することだ。とはいえ、厚生労働省の研究班の報告によれば、インフルエンザの発症と重症化を抑える効果はあるという。そもそもインフルエンザワクチンは、接種を受けた人の体にウイルスを排除する抗体を作り、同じウイルスが入ってきたときにそれを攻撃して発症や重症化を抑えるものなのだ。

 研究班の分析では、65歳以上の高齢者はインフルエンザワクチンの接種によって発症リスクを34~54%、死亡リスクを82%減らせる。また、0~15歳では1回接種で68%、2回接種で85%、16~64歳では1回接種で55%、2回接種で82%の発症予防効果があったとする報告もある。

 ただ、どの年齢でも効果が100%ではないことに注意が必要だ。はしかや風疹、水ぼうそうなら、1回でもかかったことがあったり必要な回数のワクチンを接種したりしていればほぼ100%予防できる。

 ところが、インフルエンザワクチンに関しては乳幼児や高齢者は抗体ができにくいうえ、インフルエンザウイルスは毎年少しずつ顔つきを変化させる。そのため、予防接種を受けていても発症したり、インフルエンザに1回かかった人でもまた翌年かかったり、同じ年にA型インフルエンザとB型の両方にかかって2回もインフルエンザに苦しんだりといった事態が起こる。

なぜ発症率が下がるのか