【サスティナブルにっぽん~埼玉県】にぎわう江戸の玄関口『鬼平江戸処』 小田恵子

関所のような化粧室の入口
関所のような化粧室の入口【拡大】

  • 東北自動車道羽生PA「鬼平江戸処」
  • 広場は大道ショーでにぎわう
  • 名物しゃもやき
  • 小田恵子

 池波正太郎氏の「鬼平犯科帳」は、主人公の鬼平こと長谷川平蔵が江戸の町にはびこる悪を取り締まる物語。連載開始から50年以上経過したが、ドラマやアニメ、劇画でも人気を博し、世代を超えて愛され続けている。その「鬼平」の名を冠した人気のパーキングエリアが埼玉県にある。東京都心から車で約1時間半、羽生市にある東北自動車道羽生パーキングエリアの上り線側「鬼平江戸処」だ。

 江戸時代、羽生市のお隣の久喜市には日光街道・栗橋関所があり、約250年にわたり、江戸への出入りに目を光らせていた。5年前にリニューアルオープンした「鬼平江戸処」は、鬼平ファンのみならず多くのドライブ客が訪れ、開館以来の利用者は1500万人を突破した(2018年10月末現在)。

 建物はエイジング加工され、本格的な江戸の街並みを再現。鬼平馴染みの軍鶏料理屋「五鉄」、うさぎの吸い物が名物だった料理屋「万七」など小説に登場する店名そのままの飲食店や、美食家として知られた池波氏が愛した老舗の味が楽しめる店が軒を並べる。私はタコ焼きのタコの代わりに軍鶏を使った「しゃもやき」を試してみたが、気軽に江戸の高級食材が味わえて楽しい。

 日本で初めてサービスエリアが生まれたのは1963年。構想段階から、それぞれの土地に合った、特徴のあるものを作ったほうが面白いという考えで設計されていったという。確かに第1号の名神高速大津SAは琵琶湖の眺望を存分に活かした作り。日本のSA、PAは単に給油、修理、休憩所としてでなく、「楽しめる」場所として作られ、進化してきたのである。無機質な道路施設の中で、SA、PAは人々の営みの場であり、ドライバ-の安全を守るオアシスとなってきた。

 ただ、「鬼平江戸処」のように強いテーマ性を打ち出したPAは全国でも珍しく、一般道からのアクセスもできるため、地元のリピーターも多い。「常に新鮮味のあるサービスを提供できるよう、テナントの皆さんからの提案を積極的に取り入れている」と斎藤俊介館長。週末には開催の無料の大道芸ショーでは、これまで50に及ぶ演目が演じられてきた。この秋も大道芸祭として、南京玉すだれや和太鼓、殺陣などの迫力ある演技で、「現代の江戸の玄関口」オープン5周年を盛り上げる。

【サスティナブル】

1992年の第1回地球環境サミットで初めて提唱された「持続可能な発展」という考え方。以後、国や産業の発展には自然環境への配慮が不可欠であることが世界的に広く浸透している。本コラムでは、サスティナブルな社会を目指す日本各地の取り組みを紹介する。

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 おだ・けいこ 兵庫県出身。山陽放送でアナウンサー兼ディレクターを務め上京、2004年に「局アナnet」を設立。観光動画制作など地方創生のための様々な活動を行っている。

【局アナnet】 2004年に創設された、全国の局アナ経験者が登録するネットワークサイト。報道記者やディレクターを兼ねたアナウンサーが多く、映像・音声コンテンツの制作サービスを行っている。自社メディア「Local Topics Japan」(http://lt-j.com/)で地方のトピックス動画を海外向けに配信中。