普及進む「電子母子手帳」 スマホで育児負担を軽減 (1/2ページ)

NTTドコモの「母子健康手帳アプリ」のスマートフォン画面。信頼のおける育児のアドバイスの配信も受けられる
NTTドコモの「母子健康手帳アプリ」のスマートフォン画面。信頼のおける育児のアドバイスの配信も受けられる【拡大】

  • エムティーアイの「母子モ」のコンテンツ「できたよ記念日」では、子供の写真を登録し、思い出を家族で共有できる

 スマートフォンやタブレット端末で使える電子母子健康手帳の普及が進んでいる。予防接種や定期検診のタイミングを通知してくれたり、健康診断のデータなど発育状況を家族で共有できたりと、紙の手帳にはない便利な機能で、子育て支援につながっている。データ保護の観点からも利点があり、導入する自治体が増えている。(玉崎栄次)

予防接種日程を通知

 「予防接種が頻繁にあるので、管理に手間がかかっていたが、通知を受けるととても楽になった」

 1月に女児を出産した女性会社員(39)=神奈川県鎌倉市=はスマホで電子母子手帳を利用している。今月、育児休業から復職したばかりだ。アプリは鎌倉市と連携しており、保育園入園の申込期間などを通知してくれるため、入園を狙う「保活」にも役立ったという。

 女性が利用しているのは、健康情報サイトなどを運営するエムティーアイが開発した母子手帳アプリ「母子モ」。出産予定日や出生日を入力すると、予防接種や定期検診が事前に通知され、受け忘れを防げる。またアルバム機能もあり、成長を写真で記録し、夫婦や家族で共有できる。

自然災害に強み

 電子母子手帳は、紙の手帳を補完する道具だ。

 例えば現在、風疹が流行しているが、自身が子供の頃に予防接種を受けたかどうか確認しようとしても、親も記憶が定かでなく、母子手帳もなくなっているというケースは珍しくない。予防接種などの記録が電子化されていると、データはサーバー上に保管されているため、端末があれば確認することもできる。

 同社電子母子手帳サービス部長の帆足(ほあし)和広さんは「自然災害などで紙の手帳を紛失しても、情報を呼び出すこともできる。その点に注目する自治体も多い」と説明する。「母子モ」はこれまでに全国の150市区町村(11月9日時点)が導入を決めている。

 帆足さんは「母子手帳の電子化により、子育て世帯の育児負担を減らすことができれば、地域の医師や保健師らの多忙感軽減にもつなげられる。その分を、より育児に課題を抱えている世帯に振り向けることもできるようになる」と語る。

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