【痛み学入門講座】血圧が高いと「頭痛」になる? (2/2ページ)

 しかし、である、物事には例外がつきものである。中等度以上の高血圧では事情が異なる。『ハリソン内科学書』(15版)には「褐色細胞腫=副腎髄質(ふくじんずいしつ)などに生じる腫瘍、血圧を上昇させるカテコールアミンを過剰に分泌する。発作時の激しい頭痛が特徴=と、悪性高血圧=褐色細胞腫や子癇(しかん)、腎疾患など、さらには特定される原因がない本態性高血圧によっても引き起こされる重症の高血圧。拡張期圧=下の血圧が130mmHg以上=は、高血圧のみで頭痛を生じる非常に稀(まれ)な例」とある。したがって、血圧が高くて頭痛がある人では「褐色細胞腫」や「悪性高血圧」には気をつける必要があるのだ。さらに、これらは「高血圧性脳症」=比較的急速に起こった高度の高血圧によって脳血管が拡張し、脳浮腫(ふしゅ)を生じて、意識障害や痙攣(けいれん)を引き起こす救急疾患。主要症状に頭痛がある=をきたすので厄介だ。

 高血圧は“サイレントキラー”と呼ばれ、明らかな自覚症状がないままに、さまざまな臓器(脳、心臓、腎臓、眼底など)の障害を進行させる病態である。このことからは、まずは塩分制限の徹底が重要であることは言うまでもない。(近畿大学医学部麻酔科教授 森本昌宏)