天皇の料理番が伝授 ガスビル食堂のセルリ・オー・ジュ

ガスビル食堂の正式メニューとして登場したセルリ・オー・ジュ(彦野公太朗撮影)
ガスビル食堂の正式メニューとして登場したセルリ・オー・ジュ(彦野公太朗撮影)【拡大】

 大阪ガス本社(大阪市中央区)にあるガスビル食堂で、長年“隠しメニュー”とされてきた「セルリ・オー・ジュ」(セロリの肉汁煮)が、正式メニュー(税込み648円)となり、話題を集めている。

 セロリをフォンドボー(子牛肉のだし汁)で煮込んだ一品で、香り立つセロリの柔らかい食感が楽しめる。昭和天皇の料理番を務めた秋山徳蔵さん直伝のレシピで常連客にだけ親しまれてきた一皿だが、9月に開催された復刻料理フェアで人気を集めたため、「昇格」となった。

 ガスビル食堂では、同社の片岡直方元会長が「西洋料理にセロリは欠かせない」と、種子を海外から取り寄せて自ら栽培した歴史から、昭和8年の創業以来、食前に生のセロリを提供することで有名。

 さらに、昭和天皇に片岡さんが自慢のセロリを献上した縁で、宮内庁の主厨長だった秋山さんがレシピを伝授したという。

 ガスビル食堂は、モダンな近代都市生活や文化を伝えたい-という思いとともに、本格的な欧風料理を提供する店として古くから市民に開かれてきた。逆に現代においては、近代建築の伝統を感じながら食事を楽しむことができる場となっている。

 食堂の波々伯部(ほほかべ)泰典マネジャーは、「歴史ある一品をぜひ食べてみてください」と話している。