【IT風土記】長野発 遊休資産を村おこしの武器に 「シェア経済」に挑戦する北相木村 (3/3ページ)

長野の観光名所。「一生に一度は善光寺詣り」と言われ、年間約600万人が訪れる信州善光寺

長野の観光名所。「一生に一度は善光寺詣り」と言われ、年間約600万人が訪れる信州善光寺

 拡大するサービス

 「車が駐車場に置きっぱなし」「実家が空き家になった」。そんな遊休資産を借りたい人、利用したい人に有償で提供することで有効活用し、保有の負担を軽減する。一方で、利用する側は自分で資産を保有せずに割安で利用できる。サービスをスマートフォンで探し、電子決済で支払いを済ませる。インターネットを通じて気軽に利用できるところがシェアリングエコノミーの市場を広げている。ITが生んだ新しいサービスだ。

シェアリングエコノミーによる地方活性化の可能性について語る総務省地域政策課の東宣行理事官

シェアリングエコノミーによる地方活性化の可能性について語る総務省地域政策課の東宣行理事官

 地域活性化の有効なツールとして国の関心も強く、総務省では今回採択した14件のモデル事業の成果や課題を整理し、全国の自治体への展開を考えている。特に今回の事業は過疎に悩む中山間地のチャレンジだけに総務省地域力創造グループ地域政策課の東宣行理事官は「人口が少なくなり、自治体職員も少なくなると、自治体が支援する『公助』が厳しくなっている。その中で、共に助け合う『共助』によって、地域内の資源をうまく活用する北相木村の事業は全国的なモデルになり得るのではないか」とその動向を注視している。

 地域の課題を解消

シェアリングエコノミーにチャレンジした北相木村の井出高明村長

シェアリングエコノミーにチャレンジした北相木村の井出高明村長

 実証事業は12月20日までの期間限定。施設の整備や需要調査、実施後の検証作業などがあるため、施設の稼働は3カ月弱に限定されたが、来年4月以降の利用者も募集中だ。11月上旬までの段階で利用申し込みは4件。認知度が不足しているほか、需要が見込める夏場を過ぎていたこともあり、利用は低調だ。井出村長は「研修の利用があるが、それだけでは施設の有効利用にはつながらない。研修などの一時的な利用をうまく恒久的な利用に結び付けたい。まずは慌てずにじっくり様子を見ていきたい」と話す。

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