まさかの失注、企画潰れ… まだ「驚異のプレゼン」で消耗しているの? (3/3ページ)

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 これは、恋愛においても同じだ。ドラマや映画を参考にした、ドラマチックなプロポーズなどされても、ウザいだけである。「僕は死にましぇーん」と言われても、いまやストーカーなのである。もはや、元ネタもわからない時代だが。

 これは仕事術について考えるときの基本なのだが、それを提唱している人がどんな人なのか、自分の立場を考え、どの部分だったら真似できるのかを考えた方が良い。この手のものをそのまま真似しても迷惑なのだ。

 コミュニケーションの溝をどう埋めるか

 このような「劇的なプレゼン」は、コミュニケーションのズレを誘発する。しかも、営業にしろ、新卒採用にしろ、恋愛にしろ、劇的すぎて、どう断っていいのかわからず、ズルズル進んだ上でお断りになるのである。

 プレゼンは別に劇的である必要はない。言いたいことが伝わり(伝えるではない)、理解して頂き、納得して頂き、疑問を解消した上で目的とするアクションにつながればいい。だから、世の中には口下手なトップ営業パーソンという人も存在するのである。

 別に完璧なプレゼンを目指さなくても良い。もちろん、準備は気合いを入れるべきだが、相手の反応をみつつ、より深い課題を聞き出す場にするべきだ。何より、その過程で信頼してもらえるかどうかが肝だ。

 すでに季節は冬である。私のような中年をターゲットにサッポロビールの「冬物語」も期間限定発売され、季節を感じる。ただ、初滑りはスキーだけにして頂きたい。仕事も恋愛もウザいプレゼンで滑ってはいけない。

【プロフィル】常見陽平(つねみ・ようへい)

常見陽平(つねみ・ようへい)千葉商科大学国際教養学部専任講師
働き方評論家 いしかわUIターン応援団長
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。リクルート、バンダイ、クオリティ・オブ・ライフ、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師。専攻は労働社会学。働き方をテーマに執筆、講演に没頭中。主な著書に『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)など。

【働き方ラボ】は働き方評論家の常見陽平さんが「仕事・キャリア」をテーマに、上昇志向のビジネスパーソンが今の時代を生き抜くために必要な知識やテクニックを紹介する連載コラムです。更新は原則隔週木曜日。