IT風土記

愛媛発 超高齢社会の課題を解決「見守り」ロボット (1/3ページ)

 愛媛県西条市は「水の都」として知られる。西日本最高峰の石鎚山のふもとに位置し、石鎚連峰を源流とする伏流水が地中を流れる。市内の各所には「うちぬき」と呼ばれる自噴水が湧き出し、多くの市民が生活用水として利用している。やわらかな口当たりのうちぬき水は国の名水百選にも選ばれ、利き水コンテストで全国一になったこともある屈指の名水だ。市内に設けられた水くみ場には、たくさんのペットボトルやポリタンクを持ち込み、水を汲み入れる人の姿が絶えない。

 うちぬきの水は、工業用水、農業用水としても重宝されている。清澄な水を求めて、この地に工場を立地した企業も多く、四国屈指の工業集積地を形成する要因の一つになっている。働き盛りの住民が多く、人口約11万人(2018年4月現在)に占める65歳以上の高齢者の割合は約31%と愛媛県に11ある市の中では8番目に低く、高齢化があまり進んでいない自治体といえる。

高齢者の社会的孤立を防ぐ

 そんな西条市が18年7月からロボットを活用したゆるやかな見守りサービスに取り組んでいる。NECが開発した「PaPeRo i(パペロアイ)」というコミュニケーションロボットを一人暮らしと夫婦のみの世帯のお年寄り10世帯の家にPaPeRo iを設置。その使い勝手を試してもらった。3カ月間の実証実験は好評で、継続希望者に12月まで無償でサービスを提供。19年1月から西条市が本格的に有償でのサービス提供を始めることを決めた。

 「年金や医療、介護の財政的な負担が増える中、高齢者の健康寿命をいかに延ばすかは日本の大きな課題です。健康寿命を延ばすには認知症の予防と寝たきりの予防が重要で、コミュニケーションが有効だと考えていました。ロボットでのゆるやかな見守りは非常に意義があると感じ、チャレンジしました」と西条市の出口岳人副市長は語る。

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