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ニコニコするのは大企業だけ 7割の人は無縁、“ボーナス過去最高”のウソ (2/4ページ)

 「ボーナス出る」正社員vs「ボーナス出ない」非正規

 さらに指摘しなければならないのは、働いているのは正社員だけではない、ということだ。

 雇用者総数5618万人(総務省労働力調査2018年7~9月期)のうち、非正規社員が2118万人(約38%)を占めている。これらの人たちはボーナスをもらっているのだろうか。

 非正規には、パートタイマーや契約社員などが含まれるが、ボーナスが実際に支給されているのか、いくらぐらいもらっているのかについてメディアで取り上げられることはあまりない。

 東京都が実施した「2017年度パートタイマーに関する実態調査(フルタイムパートも含む)」によると、ボーナスを全員に支給している企業は24.0%、一部の人に支給している企業が16.8%。支給していない企業が56.4%に上る。支給する企業のうち、年間支給額の平均は11万8000円だ。ということは半期で5万9000円ということになる。

 この金額は経団連調査の約96万円の6%にすぎない。ボーナス額だけを見ると、大手企業、中小企業、非正規社員という格差の3層構造が浮き彫りになる。

 「労働者の4割」非正規社員にボーナスが支給されないワケ

 実際には中小企業の40%、非正規の56%はボーナスを支給されていない。0円だ。つまり大多数の労働者にとってボーナスの恩恵を受けて、毎夜のごとく忘年会で浮かれている光景はまったく関係のない世界なのではないか。

 非正規社員の中には金額がわずかでもパートや契約社員でもボーナスが出るんだと驚いた人もいるかもしれない。本来のボーナスは会社の業績によって増減し、長年勤務する社員の生活費の補てんとして支給される性格を帯びていた。

 しかし、非正規だけは埒外とされていた。

 なぜなら非正規は業務の繁閑に応じて臨時的・一時的に雇われ、契約期間も6カ月や1年と限定されていたからだ。そのため事前に交わされる雇用契約書に「賞与支給」を記載することはほとんどなかった。

 だが、非正規の雇用実態は平成の30年間で大きく変わった。平成元年にあたる1992年の全体の雇用者数に占める非正規比率は21.7%にすぎなかったが、年々増加し続け、今では40%にまで膨れあがっている。

 しかも1年契約といいながら更新を重ねて同じ会社に5年、10年と長期に勤務する人も増加した。その背景にはバブル崩壊後に企業が長期低迷に陥り、正社員を減らし、コストの安い非正規で代用する状態が長く続いたことがある。

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