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ニコニコするのは大企業だけ 7割の人は無縁、“ボーナス過去最高”のウソ (4/4ページ)

 経営者が法律違反(ボーナス支給しない)をしても罰則はない

 このことを解説している「同一労働同一賃金ガイドライン」では、法的に問題となる事例として次のケースを挙げている。

 賞与について、会社の業績などへの労働者の貢献に応じて支給しているA社においては、通常の労働者には職務の内容や会社の業績などへの貢献にかかわらず全員に何らかの賞与を支給しているが、短時間・有期雇用労働者には支給していない

 正社員には仕事内容や業績への貢献度に関係なくボーナスを支給しているのに、非正規に一切支給していないのはダメだと言っている。

 また、法律では会社業績に対して正社員と同じ貢献をしていれば同じ金額のボーナスを支給しなさいとも言っている。

 多くの非正規の場合は正社員とまったく同じ役割や仕事を担っている人は少ないだろう。

 だが、役割や仕事内容に違いがあっても、非正規なりに会社の業績に貢献しているにもかかわらず、正社員が95万円ももらい、非正規は寸志程度の数万円しか支給しないのはだめだ(法的に不合理)と言っている。こうした法律改正とガイドラインによって、今後非正規にもボーナスを支給しようとする企業が出てくるかもしれない。

 ただし、法律の施行によってどれだけの企業が非正規にボーナスを支給するかどうかはわからない。

 なぜなら経営者にボーナスを支給しないのは法律違反だと文句を言っても、支給しなければ経営者が罰則を受けるわけではなく、最終的には裁判で判断されるからだ。

 だが、裁判に訴えればボーナスを獲得できる可能性がより高まることになる。すでに2020年4月の法律の施行前に賞与などの手当を巡る訴訟が相次いで発生している。

 正社員と非正規の格差を是正していくには、個々の非正規社員が正当な権利を勝ち取るための勇気も問われている。

 (ジャーナリスト 溝上 憲文 写真=iStock.com)(PRESIDENT Online)

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