変わる相続 自筆の遺言書 負担軽減、一部PC作成も (2/2ページ)

遺言書をめぐるトラブルを防ぐには
遺言書をめぐるトラブルを防ぐには【拡大】

  • 曽根恵子代表
  • 高原誠さん

 「家父長制の時代は、『遠慮する』という選択肢もあったが、今は相続人に知識も権利意識もある」と曽根代表。財産の規模は関係ないという。「財産が多いと早くから専門家が入るが、少ない場合は相続人だけで話し合うため、いきなりもめてしまうケースが目立つ」と指摘する。感情面でしこりが残らないように、遺言書はこっそり作らないことが大切だ。

 遺産分割で知っておきたいのが「遺留分」。一部の相続人には、法律上最低限の遺産が確保されている。これは、遺言があっても奪うことのできない取り分だ。「遺産分割では遺留分を侵害しないほうが無難だ」と曽根代表。

 遺産分割を公平にできない場合は、遺言書に理由を明記しておく。曽根代表は「相続人全員に向けたメッセージは、最良の説得材料になる」。親からの説明があれば納得できる人も多いという。「『もめない』という財産を残すことも大切。元気なうちに遺言書を作ってほしい」

                  

 ■遺言書作成に「無関心」7割

 60歳以上の人のうち、遺言書の作成に無関心な人が7割を超えることが、日本財団の調査で明らかになっている。

 調査は平成29年3月にインターネットで実施。20歳から79歳までの男女3097人が回答した。

 それによると、60歳以上の2064人に遺言書の準備状況を尋ねると、「作成済み」は4.9%。「作成検討中」は4.1%、「関心あり」は18.3%だった。一方、「無関心」は72.6%だった。

 作成していない人に理由を尋ねたところ(複数回答)、最も多かったのが「書くほどの財産を持っていないから」で47.7%、次いで「法定相続分の割合で分けてもらえればいいと思っているから」で20.2%だった。また、「家族がうまく分配してくれると思うから」(19.4%)といった、遺族任せで問題がないと考える人も目立った。