フィンテック群雄割拠~潮流を読む

フィンテックとは何か? 驚くべき本質をイメージから理解する (2/4ページ)

甲斐真一郎
甲斐真一郎

金融以外の世界では当たり前のサービス間の競争が出てきた

 フィンテックというものが出現したことで、必然的に金融サービスが変化することになった。これまでの金融機関が育んで来た「顧客目線」とは異なる次元でよりリアルな、市場のニーズを迅速に反映した「顧客目線」というものが出て来た。フィンテックを駆使し設計され改善を重ねられた顧客中心主義のサービスが登場すると、従来のサービスも変化を迫られる。そこにはサービス間での競争が生まれることになるわけです。

金融以外の世界では当たり前だった価格競争だとか、UI・UXなどデザイン的な使い勝手の競い合いというものが生じる。つまり、既存の金融機関も、かなり違った角度から「顧客目線」を考え直さなければならない状況が出てきたといえるのではないでしょうか。

テクノロジードリブンのファイナンス

 「顧客目線」ということで言えば、アマゾンは「全てにおいて顧客ファースト」と言っているし、グーグルに至っては、「全世界の情報を整理する」とか言ってしまっている。こうした発想は、シリコンバレーならではの発想なのではないかと思います。彼らは、テクノロジーを軸に顧客優先を探求することで、大きなビジネスを生み出してしまった。

 当初、フィンテックが囁かれ始めた頃、従来の考え方に固執した一部の金融業界の人たちは、「これからはシリコンバレーがやって来るぞ!」と戦々恐々としていた、という話も耳にしました。確かに、その後の米国では、フィンテックの動きを牽引したのは、アマゾンやアップルだったり、日本ではLINE、メルカリだったりといったテクノロジー企業だったので、あながち的外れな予想ではなかった。

 では、どうして金融サイドからフィンテックが生まれにくいのか?と振り返って考えてみると、それはフィンテックの本質が、「ファイナンス+テクノロジー」ではなく「テクノロジー+ファイナンス」だったからではないかと思うのです。まずはテクノロジーありきで、テクノロジードリブンでなければ、フィンテックは進化しにくい性質を備えている。

 そして、ひとたび進化したフィンテックは、ファイナンスの側にもうまく活用される。現在、ウォール街で取り入れられているテクノロジーは、彼らなりの従来のファイナンスの専門性を活かしたフィンテックとなっているわけです。でもそのベースにあるのは、あくまでも「テクノロジー」ではないかと思うのです。

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