【ローカリゼーションマップ】米国と欧州を同一視してないか? 日本の企業人に「忘れ去られた視点」 (3/3ページ)

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 欧州の文化に対して日本のビジネスパーソンに苦手意識が強いのは、何らかの劣等感の裏返しや、欧州文化を理解するのは歴史・地理的複雑さから面倒である、との思い込みであるとぼくは長い間みてきた。

 だが、人間を中心に考える思想と曖昧なことを許容する文化とつきあうのが、とてつもなく不合理である、とある時代から思い始めたのではあるまいか。

 少なくないビジネスパーソンは、ロジカルな考え方だけでなく、曖昧な感性的なアプローチさえも数字で把握できないかと欲をかく。正確に言えば、曖昧なことをそのまま把握することにまったく自信がないから、数字や論理に「すがる」のである。

 しかしながら、「すがっている」のを自分の姿としては見たくないから、論理や数字が感性より上の存在であるかのように振る舞う。が、それが弱さの一表現であることが第三者にはお見通しだ。

 現在、日本に限らずどこの国でも、合理性と非合理性の案配がふたたび見直されるタイミングに入ってきている。合理性が強く支配した後には、必ず揺り戻しとしての非合理性の再評価がある。古くは19世紀の欧州にあったロマン主義もそうだった。

 この30年ほど、日本のビジネス界は西洋諸国より非合理が占めている割合が多いとの認識から、反省の気持ちをこめながら合理性の強化を図ってきた。その強化期間後半にさしかかり、世界では「非合理の合理」が強調されるようになってきたのである。

 今、日本のビジネスパーソンが「欧州の言語」にハッとするのは、故なきことではない。

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【プロフィール】安西洋之(あんざい・ひろゆき)

安西洋之(あんざい・ひろゆき)モバイルクルーズ株式会社代表取締役
De-Tales ltdデイレクター
ミラノと東京を拠点にビジネスプランナーとして活動。異文化理解とデザインを連携させたローカリゼーションマップ主宰。特に、2017年より「意味のイノベーション」のエヴァンゲリスト的活動を行い、ローカリゼーションと「意味のイノベーション」の結合を図っている。書籍に『イタリアで福島は』『世界の中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』。共著に『デザインの次に来るもの』『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか?世界で売れる商品の異文化対応力』。監修にロベルト・ベルガンティ『突破するデザイン』。
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異文化市場を短期間で理解すると共に、コンテクストの構築にも貢献するアプローチ。