治療期に人生の節目、苦悩する15~39歳のがん患者「AYA世代」 (1/2ページ)

 思春期と若年成人の頭文字を取り、特にがん治療の現場で用いられる「AYA(Adolescent and Young Adult)世代」である15~39歳のがん患者は全国で年間約2万人いるとされる。この世代は進学、就職、結婚といった人生の節目と治療時期が重なり、悩みを抱えこむことが多い。

 平成28年にAYA世代のがん患者を同じ病棟に集めた「AYA世代病棟」を全国で初めて設置した静岡県立静岡がんセンター(同県長泉町)。小児科の石田裕二部長も、ケアの難しさを感じている。石田部長によると、社会経験を積んでいる中高年とは異なり「就職に不利にならないか」「学校に通えるのか」などの不安を周囲に打ち明けられないケースもあるという。

 国立がん研究センターの推計では、患者数は年間約2万1千人。最も多いのは10代が白血病、20代は卵巣がんや精巣がんなどの胚(はい)細胞腫瘍・性腺腫瘍、30代は女性の乳がんと、年代によって種類も異なる。

 日本のがん患者は年間100万人にのぼるが、AYA世代はそのうちの2%。病棟に同年代がおらず、「なぜ自分だけが…」と孤立を感じる患者も。「お荷物になってしまう」と思い悩み、会社を辞めてしまったり、大学を退学してしまう人もいるという。

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