高論卓説

小中学校スマホ持ち込み禁止の見直し 教育環境変化、認識する機会に (2/2ページ)

 わが家でも2年前、長男が中学に進学するのを機に、スマホを買い与えた。同時に、わが家でのルールを子供自身に考えさせた。それは(1)自室への持ち込み禁止(2)自宅での使用は1日30分まで(3)課金禁止(4)パスワードは親に知らせる(5)以上のことが守れなかったときは没収-などである。

 既に部活の連絡用として無料通信アプリのLINE(ライン)が普及しており、この使用を認めるかどうかは、私もすぐに判断できなかった。ラインの中で繰り広げられる、12歳の子供たちの世界に立ち入れなくなるのは、正直不安であった。そこで、ひとまずは1学期の間、スマホをきちんとルールを守って使えるかどうかをみた。最終的に夏休みの後半にラインの使用を許可した。

 夏休みの間に使用を開始したのは、親が一緒にいられる期間に、きちんと監視しようと思ったからである。学校が既に「ライン前提」となっていることにも戸惑ったが、これが子供の置かれている社会の現実であるのだ。

 スマホも携帯電話も、ゲーム端末もない時代に育った世代にとって、小中学生のスマホ所持に抵抗があるのは当然のことである。友人関係だけでなく、学力においてもスマホの弊害は確実にある。だからこそ、その長短をきちんと教え、どう使うのかということを、子供任せにせず、親が主導権を持って子供に理解させることが重要であるのだ。

 今回の通達の見直しは、特に災害時を想定してのようだが、変わらざるを得ない子供の教育環境が、現実のあらゆるところにあることを認識する機会となってもらいたい。

【プロフィル】細川珠生

 ほそかわ・たまお ジャーナリスト。元東京都品川区教育委員会教育委員長。テレビ・ラジオ・雑誌でも活躍。千葉工業大理事。1児の母。父親は政治評論家の故細川隆一郎氏。

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